2008年8月10日日曜日

夏休み集中講座:星の写真を撮ってみよう



α350使いのカメラマンのための特別企画。今回は星の写真を撮ってみようです。星の動き(軌跡)を写真に収める時のテクニックと注意点を紹介します。ここではSONYのα350を使いますが、基本的には他の一眼レフでも同様の撮り方をします。後述しますが、ここではCCDの冷却改造をしなくてもきれいに撮れる方法を紹介します。


:用意するもの(写真左側から):
1:本体
2:リモコン
3:三脚

この3つは必ず必要です。本体はともかく、リモコンと三脚がないと作例のような写真は絶対に撮影不可能です。リモコンは長時間露光のために必要ですし、そのためには三脚もなくてはいけません。三脚は安いものなら2000円以下で手に入ります。リモコンはお値段もそれなりですが(5000円くらい)、こういう写真を撮るためには必ず必要なので、もし星の写真を撮りたい方はそろえてください。

4:時計
5:ライト
6:iPod

この3つはあれば便利なアイテム。時計は露光時間(リモコンでの撮影ではシャッタースピードを決めるのは自分)の確認に必要だし、ライトは夜の撮影にあると便利です。星の撮影の場合、周りに光源(明かり)がないことが前提条件になるので、周りは真っ暗で何にも見えません。その中でカメラのセッティングをするのは大変。しかも足元もおぼつかないのでライトは用意したほうがいいでしょう。僕の持ってるやつは手巻きで充電できるLEDライトで、電池切れの心配がありません。光量も十分。iPodは撮影中にヒマになるので、あったら便利かなと。






;カメラの設定:
1:マニュアルモード
2:シャッタースピードはBULB
3:セルフタイマーの2秒を使う
4:絞りは開放

長時間露光ではマニュアルモードにしてシャッタースピードをBULB(開放)にします。本体だけでは最長30秒のシャッターですが、開放にしてリモコンでシャッターを切ることでそれ以上のシャッターを切れます。シャッタースピードが5分なら、5分間シャッターを開けたままということ。そういう時にシャッターロックのあるリモコンでないとつらいです。本体のシッターを人が押しっぱなしというのは無理な話。画像もブレます。

同様にセルフタイマーの2秒を使うのもいいでしょう。リモコンならシャッターを切った時に本体が動くことはないでしょうけど、失敗の要素を一個でもなくすために僕はそうしています。

星を撮る時は絞りは開放の方がいいでしょうね。下手に絞っても露光時間が長くなるだけです。開放でシャープなレンズを使いたいところですが、まぁそこらへんはそれぞれのカメラ予算にお任せします。






:撮影する場所&天候:
1:空の見晴らしがいいところ
2:雲のない日(&霞のなるべくない日)
3:周りに光源のないところ
4:街の明かりの届かないところ

場所の選定は結構重要です。まず晴れてないとダメだし、雲が出ていてもきれいには撮れません。たまに雲が横切るくらいだったらいいか、と思ってはダメ。星の動きが途中で途切れてしまうんですよね。4番についてですが、街の明かりが入ってしまうとそこだけ空が白っぽく写ってしまいます。空と星とのコントラストがきれいに出ないのであまりお勧めしません。都会では難しいでしょうね。






:注意すること:
1:CCDの発熱に気をつける
2:リモコンを使っていても短いセルフタイマーを使う(ブレないために)
3:バッテリーの残量に気をつける
4:撮り終わってからのノイズ除去にすごく時間がかかる(露光時間と同じ時間がかかる)

特に1。これは僕もアルファで長時間露光をやってて初めて気がついたのですが、CCDというのは長時間露光によって発熱し、それが写真に写りこんでしまいます。こんな風に。

最初はカメラの故障かと思ってびっくりしましたよ。調べてみたらCCDが発熱してこうなってしまうようです。そのために本格的に天体写真を撮る人はCCDを冷却改造してしまうんだとか。見るとすごく大変な作業なので、こうなることを踏まえた上でその対策を考えます。

まず、あまりカットは撮れません。最初の20分くらいならCCD発熱の影響はありません(外気温23度くらい)。もし20分の露光時間で撮りたいなら(一番上の作例がそれくらいです)最初の一枚で勝負写真を撮るということです。構図、三脚のセット、画角、絞りなどの設定を吟味し、これなら大丈夫という一枚を「失敗なし」で撮らなければいけません。

外気温にも左右されると思います。冬場ならもっと長く(30分くらい?)露光時間は取れるかもしれません。作例の時は外気温14度。10分と20分を撮って、その後5分くらいのものを4カットくらい撮りましたそれでもCCD発熱の影響はありませんでした。CCDの発熱は一番怖いので、ノイズ除去してる間カメラを「うちわ」で扇いだり(レンズも外して)、電池の発熱を抑えるためにノイズ除去の画面を出さないようにしたり(ファインダーに物を置くと、アイスタートオートフォーカスの影響で白い画面が出なくなる)してました。まぁ画面を出さないようにするのはどれくらいメリットがあるかわかりませんが、アルファ使いの人は試してみてもいいかも?次のカットを撮る時は、構図を決めるまで電源を切っておくのもいいですね。電源を切ってそのまま休憩時間(冷却時間)をおくのもいいです。

ノイズ除去に時間のかかるのも、もうしょうがないです。デジカメの宿命。その意味で星の写真を撮るなら銀塩カメラのほうが3倍楽チンです。CCDの発熱もありませんしノイズ除去の時間もかかりません。デジカメだと20分の写真を撮る場合、露光時間+ノイズ除去=40分は何もできない(次のカットが撮れない)ということ。こういう撮影では2時間くらいすぐ経ってしまうんですよね。



作例ではフォトショップで色とレベルの補正をしています(正確にはレベル補正をRBGごとに補正)。長時間露光では白い物が赤茶色っぽく写ってしまうのでそれを補正します。あえて青のほうに振って印象をよくするのもいいかもしれませんね。




デジカメでの星の撮影はいろいろと注意することが多いですが、それを踏まえていけばあなたにも綺麗な写真が撮れると思います。この夏休み、星の写真を撮ってみませんか?


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